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第二章・5

「どこにもいるはずないよ!」 「和志、もう一杯飲んで!」 「人の料理にケチばっかり付けて! 『おふくろの味』なんか、幻さ!」 「はいはい。和志はよく頑張った」  肇の部屋を引き払った和志は、友人の三國 扶実(みくに ふみ)を相手に、やけ酒を飲んでいた。 「マザコン! ボクちゃん! おままごと!」 「そんなに酷いの? その鳴滝って男」  その言葉には、涙を流す和志だ。 「とっても、優しいんだ。イケメンだし、気が利くし、頭はいいし」 「ふ~ん」  それだけの長所を、全てパーにしてしまうほどの美食家ぶり。  扶実は、大いに興味を持った。

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