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第二章・6
「僕、挑戦してみようかな。その鳴滝 肇に」
「無理無理。扶実なんか、逆に追い出されるよ」
「僕の料理の腕を、知らないな?」
「知ってるから、言ってるんだよ」
いいから、鳴滝さんの出没しそうな所を教えなよ、と扶実は和志に迫った。
ホントの本気で、あのマザコンに挑戦するつもりでいるのだ。
「俺でも無理だったんだよ!?」
「墜としたら、お祝いしてよ」
よぉし、と和志はグラスを2つ作った。
「扶実の健闘を祈って、乾杯!」
「ありがとう。乾杯!」
ようやく、和志が笑顔になった。
(全く、世話が焼けるんだから)
くい、と扶実はグラスを傾けた。
和志を慰めるためとはいえ、鳴滝 肇を攻略することとなってしまった。
(ま、なるようになるさ)
やるからには、楽しむつもりの扶実だった。
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