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第二章・8
(……好みだ!)
肇が扶実を見ていた時間は2秒程度だったのだが、彼は鋭く突っ込んだ。
「合格、ですか?」
「え?」
「鳴滝さん、今僕のこと品定めしてたでしょう」
品定め、だなんて。
「清潔感のある人だな、って思っただけだよ」
第一関門突破、と扶実は感じていた。
「僕、洗濯とか好きなんです。あ、洗濯だけでなくって、料理とかも」
「……料理?」
ぴくり、と肇の眉が動いた。
「ああ! 鳴滝さんに、僕の料理とか食べてもらえたら、どんなに素敵かなぁ!」
今度こそ。
今度こそ、俺の納得する料理を作ってくれる人かもしれない!
そんな思考に陥った肇は、ちょろいものだった。
その日のうちに、二人はラインやメアド、電話番号まで交換する仲になった。
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