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第二章・9

 同じ大学2年生とは思えないほど、肇は扶実の眼に優秀に映った。  宿題の英文を簡単に訳してくれたし、ちんぷんかんぷんだった基礎物理学は、解りやすく解説してくれた。  そして、優しかった。 「初めは誰でもとまどう問題だと思うんだよね。俺も、そうだったから」  だから、恥ずかしいことなんかない。  解らないことがあれば、何でも訊いてよ。  そんなフォローを怠らない、気配り。   『とっても、優しいんだ。イケメンだし、気が利くし、頭はいいし』  そんな和志の言葉を、扶実は思い出していた。 (ホントに、その通り)  こんなに優しい、気の利く、頭のいいイケメンが、本当にマザコンのボクちゃんに豹変するのか。  扶実は興味津々、肇と付き合い始めた。

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