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第二章・14
「和志に、俺のことを聞いたのか」
「うん。マザコンのボクちゃんだ、って」
肇は苦笑した。
そう言われても仕方がないことを、これまで散々してきたのだ。
でもね、と扶実は続けた。
「亡くなったお母さんの味を大事にするのって、悪いことじゃないと思うんだ」
「扶実」
「心の中に大切にしまっておくだけじゃなくって、今度は自分で挑戦してみたら? 僕も、手伝うから」
温かな扶実の言葉が、心が肇に染み入ってくる。
「そうだな。俺は今まで、人にそれを求めすぎていたよ」
「一緒に、おふくろの味、目指そう」
「うん」
二人で、静かにキスをした。
お腹も満ちたが、心も満ち足りた、そんな夕食だった。
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