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第三章・9
「それは百も承知だ。でも俺は、もう自分を偽ってマンガを描きたくはないんだ」
「遠藤先輩……」
美知は考えた。
このままでは、先輩の本は在庫の山になる。
「そうだ、二次創作で描けば……」
「それは俺も一瞬考えた。でも、オリジナルで勝負したいんだ」
「せめて、R15にすれば……」
「次回は、全年齢向けって決めたんだ」
う~ん、と美知は腕を組んだ。
遠藤先輩、意外と石頭!
「そうだ。先輩、恋愛を同性同士にしたらどうですか?」
「同性同士?」
ふふん、と美知は胸を反らせた。
「百合とかBLですよ!」
なッ、何―ッ!?
秀郎は、美知の発想の柔軟さに声を上げていた。
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