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第三章・10
その手があったか……!
目からウロコの思いの秀郎だったが、言われてホイホイ飛びつくのはどうかと感じた。
「そ、そうだな。ま、考えておく」
それはそうと、と美知はバッグから一冊の薄い本を取り出した。
「先輩、ずっと売り子とかスケブとかで、僕のスペースに来てくれなかったでしょ」
一冊、先輩のために取っておきました。
「お、サンキュ」
しかし秀郎は、差し出された本の表紙を見て表情を失った。
見るからに妖しげな男同士が、二人。
まさか……、柳瀬お前、この本は……。
美知は呑気にスルメを噛みながら、話す。
「うちのサークルって、男子の描くマンガはほとんど可愛い女の子系でしょう? 遠藤先輩みたいに、骨のあるエロ描いてる人もいるけど」
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