74 / 102

第三章・19

 10時、大学南門。  秀郎は5分前に到着したが、すでにそこには美知が待っていた。 「遠藤先輩、来てくれたんですね!」  嬉しい、と笑顔の美知が、やけに可愛い。 「あ、ちょ、ちょっと待って!」  秀郎は、スマホに素早くメモをした。 「え~っと、『先輩、来てくれたんですね!』……っと」 「あと、『嬉しい!』もです」 「うん」  改めて、二人で向き合った。 「解ってくれたんですね、デートの意味を」 「ああ。取材は確かに大切だ」  じゃあ、と二人並んで歩き始めた。 「で、どこに行く?」 「まずは、神社へ行きましょう」  デートコースにしては変わってるな、と思いつつ、秀郎は美知に従った。

ともだちにシェアしよう!