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第三章・20
神社には、思いのほか人がいた。
お宮参りの家族、老夫婦、そして……。
「カップルがいやがる!」
「そうです、先輩。神社って、意外にデートコースなんです」
とりあえず、まずは神様にご挨拶だ。
秀郎は鈴緒を持って振ろうとしたが、美知に止められた。
「いけません、先輩!」
「な、何で?」
こほん、と一つ咳をし、美知は恥ずかし気に言った。
「先輩、一緒に鈴鳴らそ?」
「な、なるほど!」
さっそくメモを取る秀郎だ。
こういう時、恋人同士だったら一緒に行動するものだ!
二人で太い鈴緒を持って、本坪鈴を鳴らした。
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