76 / 102
第三章・21
拝礼が終わり、閉じていた目を開いた秀郎は、まだ熱心に祈っている美知の姿を見た。
ようやくお辞儀をして祈り終えた美知に、秀郎は素朴な疑問を投げかけた。
「何、お願いしたんだ? ずいぶん熱心に祈ってたな」
そこで美知は、再びはにかんで見せる。
「秘密♡」
なるほど! とメモを取る秀郎に、美知はやれやれと声をかけた。
「ホントは、先輩がちゃんとマンガ描けますように、ってお願いしました」
「サ、サンキュ」
さて、と美知はメモを終えた秀郎に向き直った。
「神社デートは、アトラクションがたくさんありますから。ちゃんとメモしてくださいね」
「おう!」
ともだちにシェアしよう!