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第三章・22
神社で、二人がやったことと言えば。
庭園を散策する。
鳩に、豆を与える。
池の鯉に、エサをやる。
おみくじを引いて、見せ合いっこをする。
一緒に、絵馬を書く。
「遠藤先輩が、無事に作品を描けますように……、っと」
「わ、悪いな」
で、と美知は顔を上げた。
「この後、お揃いのお守りを買う、って続くんですけど。やります?」
「え……」
秀郎は、迷った。
本当の恋人じゃないんだし、そこまでは……。
「買う!」
これは、取材だ!
実際にお守りを買うとなると、いろんな種類に迷った。
あっちがいい、こっちの方が可愛い、などと話し合う時間は楽しく、秀郎はお守りを買ったことに手ごたえを感じていた。
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