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第三章・26
「柳瀬」
「なんですか?」
静かな博物館を歩きながら、秀郎は美知に感謝していた。
「ありがとな、俺とデートしてくれて」
急に、どうしたんですか。
笑顔の美知は、本当に可愛い。
「なんかこう、恋ってものを思い出させてもらったよ」
「よかった」
ふいに、二人の手が当たった。
秀郎は、そっとその手を握った。
「遠藤先輩!?」
「しぃっ。博物館では静かに、だろ?」
ヤだな。
先輩、それは反則ですよ!?
「こっ、これは、取材ですからねッ」
「解ってるよ」
慌てる美知の反応は心に書き止め、メモはしなかった。
そんな野暮なことは、できなかった。
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