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第三章・29
キスは、ほんの短いかわいいものだった。
それでも、立派なキスには変わりない。
秀郎は、少々興奮していた。
そんな彼の背中を、美知がそっと押す。
「先輩、ちょっと部屋へ上がっていきませんか?」
「いいのか?」
散らかってるけど、どうぞ。
そう通された部屋は、小綺麗に片付いていた。
ものは多いが、きちんと整理されている。
そんな印象の、美知の部屋だった。
「何か飲みますか? コーヒー?」
「あ、いや。そんなに喉乾いてないから」
それより……。
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