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第三章・30

(これって、仕上げの部屋デートだよな)  マンガでは大抵、この後キスしたり。  いや、それよりもっと濃密な時間を……。 「遠藤先輩! 聞いてます? 先輩!」 「ぅあ! な、何だよ。聞いてるよ」 「僕の新作、読んでくれますか」 「いいの? まだ未発表だろ?」  プロじゃないんだから、と美知は笑う。 「一番最初に、先輩に読んでもらいたいんです」 「いいぜ。どれどれ」  美知の新作は、またBLだった。  設定も変わらず、先輩×後輩の恋。  イケメンでモテるくせに、後輩がかけるモーションになかなか気づいてくれない、焦れるストーリー展開だ。

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