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第三章・31
「相変わらず、巧いなぁ」
「どんなところが、ですか?」
身を乗り出し、勢い込んで美知が訊ねて来る。
「画が巧いのは当然なんだけど、コマ割りとか、キャラの動かし方とか。ストーリーにも引き込まれるよ」
「……」
黙って上目遣いの美知に、ドキリとした。
(何か、マズいこと言ったかな。てか、柳瀬その表情、可愛すぎ!)
「実は、このキャラにはモデルがいます」
「俺の知ってる奴か?」
はい、と頷く美知に、秀郎は考え込んだ。
(サークルの誰かかな。赤井とか、米沢とか)
そんな秀郎に、美知は焦れた。
ああ、ホントにじれったい!
今日、デートして。
そして今、二人っきりで部屋にいるのに!
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