4 / 107

第一章・4

「起きろ、小室。そして、早く服を着ろ」  雅臣を連れて、校内を案内して廻っていた生徒会長の長田(おさだ)は、小室に冷たい声をかけた。 「あ、長田くん。それと、え~っと。神くん」  やけに間延びした口調には、感情というものが欠けていた。  まるで、人形のようだ。  彼の周辺には、使用済みのスキンが散らかしてある。  長田は顔をしかめて、命じた。 「服を着て、後始末をしろ。まったく……、売りもほどほどにしとけよ」 「へへっ。今日は、5千円も稼いじゃった」 「いいから早く!」 「解ったよぉ」  ふらりと半身を起こした空に、雅臣は手を差し伸べた。 「立てるかい?」  その時初めて、空の瞳に光が宿った。

ともだちにシェアしよう!