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第一章・5

「神くん、優しいんだね」  空は、雅臣の手を取った。  冷たく、乾いた手だった。  その途端、空の手を長田が払った。 「汚い手で馴れ馴れしく触るんじゃない!」  そんな長田の剣幕に、空の瞳は元の虚ろな色に戻ってしまった。  驚いた風の雅臣に、長田は言い訳のように説明する。 「小室 空は、Ωなんです。校内一の、堕落したΩ」  Ω、か。  雅臣は、ならば長田の態度も仕方ないか、と考えた。  長田も、雅臣と同じαだ。  Ωを毛嫌いするαが、時には存在する。

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