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第一章・25
3ヶ月間、空は雅臣の言った通り、体力づくりと礼儀作法の習得、これまで学んで来なかった知識を身につけた。
それぞれに専属のコーチや教師がおり、手取り足取りみっちり教えてくれた。
過密なスケジュールの中で安らぐひとときは、ピアノを演奏する時間と、雅臣とお茶を飲む時間だ。
「昨日、新しいCD聴いてね、弾ける曲が増えたんだよ」
「それはいい。その調子で、どんどん演奏して。春から、ピアノの教師にも会ってもらうから」
「え~! また先生が増えるのか~!」
大げさに肩を落とす空に、雅臣は笑いかけた。
「ピアノに費やす時間が、ぐんと増えるよ。1日8時間くらいかな」
「ピアノが8時間も弾けるの!? やったぁ!」
これが常人なら、げんなりするところだ。
やはり空はピアノの申し子だな、と雅臣は頷いた。
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