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第一章・30
神家の専用機で、ひとっ飛び。
秋のドイツを、二人は訪れた。
「すごい、すごい! 外国だ!」
幼い子どものようにはしゃぐ空に、雅臣は微笑んだ。
「まずは、ホテルでくつろごう。今後の予定も話すよ」
「うん!」
身辺警護の人間は付いているが、三歩下がって行動してもらっている。
初めて雅臣と二人きりになれた幸運を、空は喜んだ。
ドキドキする。
ワクワクする。
ああ、今ピアノを弾いたら、すごく楽しく演奏できそう!
「空くんのために、特別な部屋を用意したよ」
「ピアノだ~!」
完全防音の部屋で、空は心ゆくまでピアノを弾いた。
「いい感じ。空くんのオリジナリティが出てるよ」
「ホント!?」
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