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第二章・3
「それは?」
「あの、これ。チーズケーキ作ったんです」
「チーズケーキ? 白河くんが?」
「はい。皆さんに食べて欲しくて」
嘘だ。
昨夜寝付けず、夜中に起き出して、自棄になって作った代物だ。
『でも、Ωだろ』
こんな言葉を耳にしたのは、涼真だけではなかった。
噂の新入社員は、そこここで話のタネになっていた。
話の中にはどうしても、こんな悪意のあるものが混じる。
瑞も、それを聞いてしまったのだ。
「Ωで、どうしていけないんだよ! Ωの、どこが悪いんだよ!」
やり場のない怒りで力任せに麺棒をふるい、土台になるビスケットを粉々に砕いた。
そんな念のこもった、チーズケーキだった。
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