87 / 107

第三章・16

 体に異変を感じたのは、ゼミを受けている最中だった。  お腹が、動く。  いや、お腹の中で何か動いている。 (何、これ!?)  吐き気が、また込み上げて来た。 「すみません、気分が悪いのでちょっと外へ出ていいですか?」  そう言う蒼生は、顔色がひどく悪かった。  ゼミの教授は、もういいから今日は帰りなさい、と言ってくれた。 「ありがとうございます」  普段の蒼生なら頑張るところだが、今回ばかりは甘えた。  それほど倦怠感と吐き気、気分の悪さはひどかった。

ともだちにシェアしよう!