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第三章・17

 思い当たるふしは、あった。  稀一から告白されて、もう数回の満月を迎えていた。  どうしよう。  心が、乱れた。  妊娠したんだ、僕。  強い発情抑制剤を服用しているから、大丈夫だと思っていたのに。  発情期にはセックスしないように、気を付けていたのに。  でも、稀一さんは僕を愛してくれている。 (勇気を出して打ち明けよう)  思い切って、蒼生の方から稀一を呼び出した。  初めて愛を告げられた、あの場所へ稀一を誘った。

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