88 / 107
第三章・17
思い当たるふしは、あった。
稀一から告白されて、もう数回の満月を迎えていた。
どうしよう。
心が、乱れた。
妊娠したんだ、僕。
強い発情抑制剤を服用しているから、大丈夫だと思っていたのに。
発情期にはセックスしないように、気を付けていたのに。
でも、稀一さんは僕を愛してくれている。
(勇気を出して打ち明けよう)
思い切って、蒼生の方から稀一を呼び出した。
初めて愛を告げられた、あの場所へ稀一を誘った。
ともだちにシェアしよう!