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第三章・18

 月明かりの下だと、何だか素直になれますよね。  あの時の稀一の言葉を借りて、蒼生はそう切り出した。 「どうしたんだ? 突然こんな所へ呼び出して」  空には、満月。  きっと、初めてのあの時に、授かったに違いない。  そんな風に、蒼生は感じていた。 「あの……、できちゃったみたいなんです」 「できた? 何が?」 「……赤ちゃん」  稀一は、笑った。 「どうして? まさか、避妊してなかったのか?」 「ごめんなさい、僕にも解らないんです。でも、妊娠の兆候が見られて……」

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