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第三章・21

 捨てられた。  あんまりだ。 「稀一さん……、稀一さん!」  蒼生は、自分の安アパートで散々泣いた。  泣きながらも、明日の予定を考えていた。  病院へ行こう。  悔しいけど、情けないけど、中絶にかかる費用を、聞こう。  そして、稀一さんに払ってもらおう。  実家に、両親にこんなこと言えやしないんだから。 「ごめんね……、僕の赤ちゃん!」  泣き疲れて寝てしまうまで、蒼生は涙を流していた。

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