93 / 107
第三章・22
「想像妊娠ですね」
「え!?」
「赤ちゃんは、できていません」
そんな、と蒼生は思わず声を漏らしていた。
「病院に来る前に、ちゃんと妊娠検査薬で調べましたか?」
「え!? あ、いいえ」
やれやれ、と医者は肩をすくめた。
「女性にとっては常識なんですがね。Ωにも、そういう知識は教育してもらわなきゃねぇ」
せっかく病院まで足を運んだのだから、と医者は蒼生に妊娠検査薬とその使い方をレクチャーしてくれた。
「いなかったんだ……、赤ちゃん……」
でも、稀一さんは。
稀一さんを、失ってしまった。
僕の早合点で!
ともだちにシェアしよう!