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第三章・24
蒼生は友人に、その話をサークル内で広めてほしい、と頼んだ。
「何で? お前が笑いものになるだけじゃん」
「いいんだ。やがて、僕の利になって返って来るから」
「……? そんなら、いいけど」
これでよし。
蒼生は電話を切って、口の端を上げた。
稀一さん、覚悟はいいね?
あなたは、僕にとっていつまでたっても手の届かない人だった。
恋人になっても、それは同じだった。
そんな稀一さんに、僕の場所まで降りてきてもらうよ。
翌日を楽しみに、蒼生は眠りに就いた。
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