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第三章・32

 二人で、熱いキスをした。  稀一はいつものようなあっさりとしたキスではなく、舌を絡め唾液をすすり、蒼生を食べてしまうようなキスをした。  恋人であっても、他人。  そんな人間の咥内は、汚れたものと感じていた。  これまでは。  だが、今は違う。  蒼生が好きだ。  愛している、蒼生を。  蒼生に、参ってしまっている。  この俺を捕まえて、最低男と格付けした蒼生。  そんな強い蒼生が、好きだ。  そんな勇気ある蒼生が、好きだ。  今こそ、蒼生と一つになりたいんだ。

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