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第3話

あんんあああああ癒されるうぅぅぅ・・・・・! 今日もめちゃくちゃカワイイわスカイ君! 誰が持ってきたか知らないけど熊の手でノエリオ君をツンツンするのめっちゃかわいいわアタシもいじめられたいハアハア。 始めはノエリオ君のこと「アタシのスカイ君と何してくれとんじゃこのおブスッ!」って思ってたけど、スカイ君がすっごく生き生きした表情でいじめるのよね〜。 もうすでに2人セットで愛でまくってるわ。 「お待たせっ」 ノエリオ君が苺のカクテルをもってきてくれたわ。スカイ君の好きなお酒だって知ってからアタシがいつも頼むの覚えててくれたのね。 いい子だわ〜。 「あ、あの、シルキーさんですか・・・」 誰よアタシのウキウキウォッチングを邪魔するおブスは。 あら、アンタギルドの受付係じゃない。確か新人君? 「うわ、すげえ美人・・・!」 「だろ?」 「さすが"銀の妖精"」 ちょっと誰よそんな小っ恥ずかしい呼び名つけたの。この子たちみんなギルドの人間みたいね。新人同士で飲みにきたのかしら。受付、会計、理学療法士だったわね確か。あーハイハイスリット全開だからって足を組み直したくらいで騒つかないの。 「ほら、オーロも来いよ」 ファッ?! 「あの、本当にご一緒していいんですか?」 え、あれがオーロ君?顔真っ赤にしてはにかみながらそっぽ向いてる子が? いやでも赤銅色の髪に緑のお目々にってあらやだホントにオーロ君だわ。 「オーロがシルキーさんに憧れてて」 「バッバカ!」 「とにかく、一緒に飲んでもいいですか」 マ、マママママァジでええええ?!?! 「アタシ男なんだけど」 取り敢えず落ち着きましょう。お酒を一口。 「いや、でも、俺・・・」 ますます顔赤なってますやん。あらやだカモミールの口調が移っちゃった。 ちょっと手とかプルプルしてきちゃったわよパニクりすぎて。 おーいちょっとー貴方の目の前にいるオカマは上司ですよー。 ダメだわポーカーフェイスと頭がパーンしそう。 取り敢えずインターバルが欲しいわよね。 「アタシ1人で飲むのが好きなの」 「ほ、ほらやっぱやめよう、迷惑みたいだし」 「んーまあ、しょうがないか」 「ごめんなさいね、お店に来てくれたらサービスするわ」 ふっと微笑めばみんな心臓撃ち抜かれましたって顔してたわ。 やっとフォローを入れられるくらい落ち着いてきたみたい。ふーやれやれ眼鏡クイッと。あ、今してないんだった。 新人君達は違うテーブルに移っちゃった。でもオーロ君だけこっちをもの凄く見てるわね。全然気づかなかったわ。 さーてスカイ君は、って、あら居なくなっちゃった。あの子しょっちゅう居なくなるのよね。 今日はお暇しましょうか。そろそろ『ミモザ』の出勤時間だしね。 ーーーーーー 「ってことがあったのよ。カモミールどうしよううぅぅ」 「ウチに聞いてどないすんねん」 カモミールはなんだかぐったりした感じでラム酒のグラスを傾けている。その周りをミモザの花みたいな光の粒が青い照明の中ふわふわ漂って蛍のよう。このお店のママの光魔法なのよ、キレイでしょ。 「勘弁してや。今日は疲れとんねん」 「だってこんなこと相談できるのカモミールだけだもの」 職場では女性の格好をしていると上の人間や冒険者にナメられるし、ママは放任主義だし、両親には最初から女装に反対されてるのよ。 法律家になってやって黙らせたけどね。 カモミールはウンザリした顔してたけど、サービスにレーズン入りクリームチーズとサーモンのカナッペを出してあげたらちょっと機嫌直したみたい。 話を聞いてくれたわ。 「別にええやん。アンタ好みのかわいい子ぉやないか」 「え、何で知ってるの」 「今日『苔庭のイタチ亭』におったやろ」 「やだアンタもいたの。話かけなさいよ」 スカイ君ばっかり見てて気づかなかったわ。 「ウチ今日は子守やってん。若い子らを連れてったってな、そんで」 「ちょっとちょっと大丈夫だったの?アンタが連れてく男の子みんな誰かにお持ち帰りされちゃうんでしょ。カモがネギ背負ってきたなんて言われてるわよ」 「ハア?!誰やねんそないなこというの」 「確か言い出したのウィルだったかしら。綺麗な兎の獣人の。珍しくみんなにウケてたらしいわよ」 「アイツ今度シバいたろ」 「やめときなさい、あの子元冒険者なんでしょ」 「まあなあ、今日会ったヤツはめちゃくちゃ強うてビックリしたわ。宿屋のジイさんに絡んどったヤツらをあっちゅーまにのしてもうてな」 「へぇー、やっぱり伊達じゃないのねえ。 で、イケメンだった?」 そんなこと話してるうちにオーロ君のこと相談し損ねちゃって、次の日頭を抱えたわよ。 でも忘れるってことは大した問題じゃないってことよね。今までだって大丈夫だったんだからなんとかなるわよ。

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