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第7話

 今は3月の始めだ。まだ寒い日が多いが、温かい日は桜が咲くんじゃないかと思うくらい気温があがる。今年は暖冬だったようだ。雪もちょっとだけ降ったが積もるほどではなかった。誠也はまだお花見を社会人になってからやっていない。去年の春に入社したから、まだ未体験だ。会社の先輩たちは上野公園で桜の花見をやったと言っていた。今年も上野公園で行うつもりらしい。先輩の藤野さんという設計士が誠也に教えてくれた。お花見は大学の頃はベロベロになるくらい飲んで、レジャーシートの上で酔いつぶれてしまった覚えがある。誠也は思い出すと赤面する。飲み方を知らなかったし、自分がどれくらい飲めるのかも知らなかった。23歳になった今、誠也は許容量を知ったが、普通の人よりは強いと言ってもヘネシーはボトルの半分も飲めないし、ビールだって2リットルくらいだ。飲むんだったら春陽の方が強い。 「ファミレスもいいけど、ショットバーにも行きたいな」 「ああ、春陽くんの行きたいところに行こうか」 「この前さ、2丁目で店を始めたって人が来てくれたんだ。雇われ店長だって。ゲイバーだけど、その毛がなくても入店はOKらしいんだ」  なるほど、ショットバーなら風営法は大丈夫だろう。スナックやバーは朝まで営業出来る。でも春陽くんとゲイバーに行くだなんてちょっとドキドキだな。

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