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第9話

 ホストクラブから何時も行くファミレスに向かう。3月といえども夜は真冬くらい寒い。冷たい風がカシミアのコートの裾をはためかせる。透明なガラスのドアを開けて中に入る。煌々としたライトに一瞬だが眩暈を覚えた。 「いらっしゃいませ、何名様ですか?」 「後から、1人来るんで2人です」  昔は喫煙席もあったらしいが今は全部が禁煙席だ。誠也もタバコは吸わない。春陽もそうだ。ホストクラブで働いている子は結構の確率で喫煙者が多いから珍しいことなんじゃないかと思う。 「お席にご案内しますね」  グリーンにストライプが入った可愛いユニフォームを着た誠也と同じ年くらいの女の子が笑顔を浮かべる。誠也は女の子には興味がないが、こんな友達が出来たらいいなと思った。  ミートドリアとビールを注文して、スマホを見る。こんな時間にメールやLINEをしてくる友達はいないが、ホストクラブのお客さんから連絡があるときもある。お客からの連絡なんか急ぐ話のわけがないがチェックしておかないと気になってしょうがない。それに春陽くんから連絡が来ているかもしれない。メールにはふざけて登録した出会い系サイトの人からメールが届いていた。LINEは特に誰からもメッセージは来ていなかった。誠也は出会い系サイトは見る気が起きなくスマホをテーブルの上に置いて外の景色を見た。外国の人がたくさん道を行き来している。

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