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第14話

 誠也は店内をもう1度よく見る。入ったときは薄暗い店だな。と思ったが段々と目が慣れてきた。灰色の壁に白い薔薇が書いてある。カウンター席の後ろにはボトルが並ぶ大きな棚があって、ウイスキーだとかバーボンなどが並んで置いてある。ネックに丸い札がついているのはボトルキープのお客さんがいるからだろう。ちょっと立ち上がって姿勢を正すと座っている丸い椅子は高さが調整できるようになっていた。 「ホストクラブは忙しい?そんだけ、カッコいい2人なら指名が後を絶たないんじゃない?」 「ああ、俺はともかく、春陽くんはダークエンジェルでNO1だよ」 「何言ってるんだよ、歌舞伎町では誠也くんの方が有名だぞ」  誠也は腕を組んで考えた。有名と言ってもホストを専門で働いているわけではないし、本業は設計士だ。将来自分でホストクラブを経営しようと思っている春陽くんをたてなければいけない。 「また、今度ダークエンジェルに行ってあげてくれよ」  誠也はブランデーをちびちび飲んだ。

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