21 / 66

第21話

「ああ、やっちゃったな」  放心したように春陽くんは言う。シャワーが足元で意味もなく転がる。 「そうだな。俺は後悔してねえよ、ずっと春陽くんが好きだったんだから」 「俺も誠也くんが好きだよ。なあ、桜が咲いたら花見しようか」 「2人でか?」 「2人は寂しいかな。蘭丸さんたちも呼んで、どうだ?」 「いいな。そうだ。火曜日にまたダークエンジェルに行くから、また蘭丸さんのところ、ホワイトローズに行こうか」 「そうしよう、あっ、誠也くん、少しは寝ろよ。明日仕事だろ」 「マジ、そうだった。遅刻して行くか。どうせ明日の納期の仕事はないし」  誠也は浴室から出て身体を白いタオルで拭いた。同じく白いバスローブを着てソファーに身体を沈める。飲み過ぎで頭がガンガンすると思った。開店から飲んでいたのだから大分長い時間飲んでいる。 「遅刻が出来るんなら俺はそれに賛成だよ」  春陽くんが口角をあげて横に座る。 「ああ、飲み過ぎたな」  誠也はそう言ってスマホで時間を確認すると4時になりそうだった。かなり飲んでいたので酔いもある。午後から行っても誰も怒らないだろう。 「9時には起きる。春陽くんも寝ろよ」 「俺はゆっくり出来るし、でも腕枕して貰いてえな」  春陽くんはそう言って悪戯っぽい顔をした。

ともだちにシェアしよう!