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第24話

 10時にラブホテルを出た。空が晴れ渡っていて桜が咲いてもおかしくないような3月の終わり頃のような陽気だった。そういえばSNSの友達が河津桜の写真をアップしてくれた。誠也の実家の近くにも河津桜が咲く。学生時代はそれが咲くと必ず写真を撮りにいったっけ。誠也と春陽くんは駅の近くまで行ってカフェに入った。スーツ姿の男の人がたくさん居た。ガラスケースに並んでいるサンドウィッチを注文してホットコーヒーを頼む。春陽くんはキャラメルラテを選んだ。 「朝ってさ、甘いもんが飲みたくなんない?」 「そうか?春陽くんは若いからカロリーを欲しているんだろう」 「たいして歳は変わらないじゃないか、2つだけだろう」  春陽くんは白い歯を見せる。誠也はホットコーヒーを飲んで野菜とチーズが挟んであるサンドウィッチに歯を埋めた。 「春陽くんは家に帰って寝直せよ、今日は金曜日だし、忙しいのを覚悟しなくてはいけないからな」 「ああ、誠也くんも仕事か。あまり女の子と仲良くすんなよ」  春陽くんは誠也の背中をポンポンっと叩く。 「俺は女に興味はない。それに客にも手を出さない」 「枕営業したことないの?」 「ああ、食事くらいしかないな」  誠也は正直に答えた。アフターでファミレスに行ったり、同伴で飲みに行ったりしたことはあるが寝た事は一度もない。本当に人気のホストは簡単に身体を許さない。手が届きそうで届かないくらいが一番いいんだ。誠也はそう思うと食べ終わったサンドウィッチの入れ物をトレーに乗せ、春陽くんが食べ終わるのを待った。

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