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第26話
ホストクラブのロッカールームで高いブランド物のスーツに着替える。昼間もスーツなのだが、昼間のスーツはその辺の紳士服店で買った安いものだ。時計も夜用と昼用で分かれている。ホストクラブではお客さんに貰ったスイス製の高いものを腕にはめている。金髪の男の子が着替えながら誠也に話しかける
「誠也くん、今日、金曜日でしょ、シャンパンタワーをやらないと店長に怒られるよな」
「ああ、俺は、今日、5人は来る予定がある。同伴は出来なかったけどな」
「流石、誠也くんの客は金持ちばかりだから絶対シャンパンタワーがあるよ」
金髪の男の子はそう言って目を大きくする。でも5人だけじゃフェニックスでナンバーワンの座が危ない。待機しながらもっとお客さんに連絡を入れよう。
ここは7時が開店だ。フェニックスの内装は基本的にモノトーンだ。黒い壁はゴッホが書いた向日葵の模写が飾ってある。モノトーンの中に観葉植物が置いてある。たかが植物にレンタルで3万くらい払っているらしい。ソファーは白い合皮で出来ていて、柔らかい。テーブルは黒だ。ガラスで出来た灰皿が置かれている。女の客でもタバコを吸う人は結構多い。飲むと吸いたくなるんだそうだ。
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