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第27話
ウエイターが店を開けると早速、風俗嬢の女の子がやって来た。デリヘルで勤めている子だ。昼間だけ働いているらしかったからこの時間でも暇なんだろう。黒いセーターに赤いミニスカートをはいている。ちょっと肉付きのよい太腿に細いふくらはぎがこの子の魅力なんだと思う。勿論だが顔も可愛い。
「誠也くん、指名です、6番テーブルお願いします」
ウエイターが言う。予め電話で呼んでいた女の子だから指名ということは分かっていたのだが、店で一番に指名を受けると嬉しい。
「早く来すぎちゃった、えへへ」
女の子は頬を緩める。
「んなことないよ、早く来てくれて有難い。何飲む?」
「ワイン、何時も飲んでるやつ、誠也くんは?」
「俺も同じの飲むよ、乾杯しよう」
誠也はウエイターにワインを注文した。1本2万円もするワインだ。デリヘルはそんなに儲かんないと言っていたが、それでも普通の会社で働く子よりは貰っているだろう。ワインが氷の入ったワインクーラーに入れられて運ばれて来ると、誠也はグラスを合わせて「今日は有難う」と言った。
「いいの、どうせ、暇なんだもの、ね、それよりさ、誠也くん今朝、カッコいい男の子といなかった?メールで訊こうと思ったんだけど直に聞きたくて来たの」
見られたか?ラブホテルから出たところじゃなければいいが。
「ああ、渋谷で?」
「うん、駅前のカフェにいたでしょう」
良かった。ラブホテルから出たところは見られてない。俺が男の子と寝たなんて噂が流れたらここで働いていけない。みんな俺と付き合いたくて来てるんだから。
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