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第38話

 浴室から出てバスローブを着る。ソファーにお尻を沈めてアイスコーヒーを飲んだ。 「今日も実家に帰るの?」  春陽くんが訊く。 「ああ、お父さんがさ、今日、明日にどうにかなるかもしれない」 「そっか」 「そうしたら実家に帰ろうかなと思ってさ、春陽くんとは中々会えないな」  誠也はそう言うと、喉ぼとけを上下させてアイスコーヒーを飲む。埼玉県から通勤することも出来るがホストクラブは辞めなくてはいけないだろうし、そうしたらダークエンジェルに通うお金も無くなる。春陽くんが本当に誠也のことを彼氏だと思ってくれているんなら休日にデートくらい出来るかもしれないが、芳樹くんっていうライバルがいる。そうだ、春陽くんに芳樹くんと寝たのか事実を聞いておきたい。 「春陽くん、芳樹くんとラブホテルに入っただろう。俺、見ちゃったんだよ」 「え」 「嘘はつかなくていい。俺とこうなる前の話だから」 「じゃあ、本当のことを言う。芳樹と付き合ってた。でも、別れたよ」  やっぱりか。まあ、誠也だって大学時代は彼女がいたし、セックスしたこともいっぱいある。過去なんてどうだっていいんだ。 「そうか、あいつカッコいいもんな」 「何を言ってんだよ。誠也くんの方が数倍カッコいいよ。歌舞伎町だって有名だろ」  でも、埼玉県に帰ることになったら夜に働くことは無理だろう。地元のホストクラブでもいいが、お母さんが心配する。

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