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第45話

 夕食を食べたあと思い出したように、お母さんにストールを渡した。気に入ってくれるかな。ちょっと心配になる。 「素敵、高いんじゃない?誠也が買ってくれたの?」 「うん、春でも寒いじゃん、首元は温かくしたほうがいいよ」 「何処で買ったの?」 「原宿」  誠也はそう言って照れ臭そうに笑った。  2階は3部屋ある。お父さんとお母さんが寝る部屋とお父さんの書斎と誠也の部屋だ。都内で1人暮らししたとき、もう部屋は片付けちゃっていいよ、と言っていたが、お母さんはそのままにしておいてくれている。ベッドも矩形のテーブルも出ていったときと同じ場所にあった。お風呂から出たあと、誠也はベッドに横になると春陽くんのことを思い出した。芳樹と別れたって言っていたし、埼玉にも住みたいって言っていた。それが本当なら、実家の近くにマンションを借りてあげよう。昼間だけの収入では家賃までは無理だと思うが敷金くらいなら払ってあげられる貯蓄がある。

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