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第47話
湘南新宿ラインは混んでいた。吊革に摑まって暗くなった景色を見る。埼玉に入ってから段々と灯りも減ってきて田舎に入ったんだなと分かる。
「ホストクラブも数軒あったんだが、一番人気がありそうなところを調べておいた」
誠也は昨日、帰りがけに色々リサーチしていた。
「同業者だって言うか?」
「いや、それは内緒にしておこう。引き抜きだと思われたら困る。春陽くんも設計士ということにしよう」
「りょーかい、ドキドキするな」
「1杯飲めば大丈夫だろ」
誠也はそう言って口角をあげる。お父さんが危ないときに不謹慎な気がするが、春陽くんは気を遣ってここに来てくれたことを知っている。
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