48 / 66

第48話

 ホストクラブはビルの2階にあった。ドアを開けて中に入ると太ったウエイターさんがにこやかに出迎えてくれた。 「2名さまですか?」 「ああ、初めてなんだ。幾らくらいで飲める?」 「初回はワンタイム、フリードリンクで3000円です」  3000円なら3時間くらい居てもいいし、他のホストクラブに梯子してもいい。 「じゃあ、入るよ、いい子が居たら指名する」 「有難う御座います」  誠也は春陽くんとボックス席に座った。イケメンのサッカー選手のような子が挨拶して横に座った。 「男の人、2人って珍しいです。緊張しちゃうな」 「そう?」 「ええ、キャバ嬢を連れて来る男の人はいますけど。こんなカッコいい人たちが来るなんて、店に入って来た時、面接かなって思いました」 「アハハ、俺たちは設計士だよ」  誠也は春陽くんの顔を見た。悪戯っぽく笑っている。ここ何日かの緊張が解れたような気がした。

ともだちにシェアしよう!