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第51話
春陽くんと行ったホストクラブからビジネスホテルまでは歩いて5分くらいだ。駅に向かう途中なので並んで2人で歩く。今日は飲むつもりだったので誠也は自転車ではない。タクシーで帰ろうと思っていた。1階がレストランになっているレンガ造りのホテルに着くと誠也は人目がないことを確認して春陽くんにキスをする。
「今日、家に着いたらLINEする。ゆっくり休めよ」
「ああ、誠也くんこそ朝早いだろ、俺のことは気にしないで早く寝ろ」
誠也は春陽くんが愛おしくなってまた抱きしめたかったが、男の人が歩いて来たので止めた。
家に帰るとお母さんはリビングのソファーで横になって寝ていた。やはり待っていてくれたんだろう。胸が痛む。
「お母さん、ただいま、風邪ひくよ、2階に行こう」
「ああ、誠也はお風呂はどうするの?」
「今日は飲んできたんだ。明日シャワー浴びてから家を出る」
お母さんは目を擦りながら、鼻をくんくんした。
「だいぶ飲んできたのね。明日、大丈夫?」
「ああ、大丈夫だ。一緒に2階に行こう。おぶってやろうか?」
お母さんは顔を綻ばせた。
「誠也におぶえるほど軽くないと思うよ」
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