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 そして俺はいま、ラブホテルのいすに裸で縛りつけられている。  座面にうつ伏せるような格好で、手足をまとめていすの脚に縛られているから、強制的に大きく足を開かされている状態だ。  目隠しもされて、お尻には振動する何かを挿れられていて……全然身動きが取れない。  安全な場所に隠してくれるという言葉に、だまされた。 「っ離してください、ん、ンッんぁ」  身をよじってみるけど、紐が体に食い込むだけで、全然意味がない。 「そう、上手だね」  男性の声と、ぴちゃぴちゃとなめる音がしていて、多分吉野くんはフェラチオをさせられている。 「もっと根本まで、こうだよ……っ」  男性はハァハァと荒く息をしていて、でも吉野くんは何も言わないから、声が出ないんだと思う。  でもそんなことはおかまいなしとばかりに、男性は好き勝手言っている。 「あー……気持ちいいよ」  ゴホゴホと、吉野くんがむせている。  他方、俺もだんだん変になっていた。 「これ、取って、ぁああッ」  お腹の中でぶるぶる震えているものに、侵食されていく感じ。 「ん……んぁっ、はぁ、ぁあっ、やだ、あぁ……ッ」  ため息とともに、ドサッと音がした。  男性がこちらに歩いてくる気配がする。 「気持ちいいのは分かるけど、順番は守らないと。あとでたっぷりしてあげるから、いまはおとなしくしててね。おりこうにできたらごほうびをあげるよ」  そう言って、お尻に突っ込んだもののボタンをカチカチと操作した。 「ひぁああっ……ッ」  振動が強くなって、ぐりぐりと中がかき回される。  「ぁあっ、や、ん、んんっ……っ」  何かの布を口に突っ込まれた。  苦しい。くぐもった声しか出ない。 「じゃあ、続きをしようね」  男性が猫なで声で呼びかけると、また、ぴちゃぴちゃという音がし始めた。 「んはぁ……君の目はゾクゾクするよ。艶っぽくて。ほら、口の中犯されて気持ちいいかい?」  吉野くん、何をさせられているんだろう。  道具でいじめられたり、無理やり奥までくわえさせられたり、酷い目に遭っていないだろうか。  と心配しつつ、俺は俺で、強くされた振動に耐えるので必死だ。 「んん、んっ、んんッ」  心は嫌悪感でいっぱいなのに、体がドクドクと熱くなっていく。 「んーッ、ん、ンンッ」  自然と体が跳ねるたびに、座面に押し付けられた乳首が擦れて、それがまた別の刺激になる。  目隠しされた目元に、じんわり涙が溜まっていくのが分かる。  拒否しようとしても、体は敏感に反応していて、ビクッビクッと震えるたびに、いすがガタガタと鳴る。 「勝手にイッちゃだめだよ」  男性が、やや大きな声でこちらに向かって言った。 「ん、んんっ、んッ」  ビクビクと跳ねる体。達してしまいそう。  男性はベッドから降りて、何やら探っているようだ。  やがて俺の前に来て、ハァハァと下品な息遣いのまま言った。 「我慢できないの? 可愛いね。エッチな君にはお仕置きが必要かな」  ペニスに、振動するものを固定される。 「んんんんっ……!……ッ!」  ちょっとイッてしまった。 「あらら、イッちゃったの。可愛いけどもう少しそのままでいてね」 「んんっ、んーッ」  中途半端に達した体は、固定された刺激に耐えられない。 「んんっ……!んーッ!んんっ!……っ!……ッ」  みっともなく吐精する。  縛られて痛いと思っていた紐の食い込みまで感じてしまって、頭がおかしくなりそう。  イッたばかりの体の中も外も休むことなくいじくられて、意識が朦朧としてきた。 「あれ、そんなに気持ちいい? 淫乱だねえ、許可なく勝手に気持ち良くなって。可愛い顔してド変態さんか」  酷いことを言われているのに、射精が止まらない。  吐き出したと思ったらまた続いていて、強制的に何度もイかされて、体はずるずると力が抜けているのに、またイッてビクビクする。  痙攣(けいれん)しながら、はしたない精液で床をドロドロに汚しているのが分かる。  本当にもう無理、地獄だ。  座面にぐにっと潰されている乳首がじんじんする。  と、そこで、何かの波がどっと押し寄せた。 「ん、んんっんン……ッ!」  ブシャアッと音がして、射精とは違う、何かが出た。 「おーおーおー、派手に潮吹いちゃったねえ」 「んー、ン、ん、ん……ん、……」 「ハァハァ、僕ももうイクよ。濃いザーメン全部飲んでね」  遠くに、許せない言葉が聞こえる。  でももう力も入らないし意識も飛びそうで……むり、ごめん…… 「オラァ、クソオヤジ!」  ドアを叩く音が聞こえた。  ガンッと一際大きな音がしたと思ったら、聞き覚えのある大声と、ドタバタという足音。  複数の怒声とともになだれこんでくる。  ふいにお尻のものが引き抜かれて、ペニスの振動からも解放される。 「慧、しっかりして」  紐が解かれて完全に脱力すると、体を抱えられた。  そっか……、松田くんだ。 「死ねコラァッ!」  澤村くんが声を荒げて、なんか、もうよく分かんない。  吉野くん、よしのくん……。

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