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10-2
裸のままベッドに入り、向き合う。
薄暗い照明、非日常の感のある空間でゆるっと抱き合うと、途端幸せな気持ちに包まれた。
吉野くんの青白い肌。真っ黒な瞳。
いつもは必死で、視覚的に味わう余裕なんてないけど、こうやって静かな場所でじっと見つめてみると、吉野くんは本当は、妖精か何かなんじゃないかと思ってしまう。
綺麗な国から来た妖精で、人間の世界に降り立つことを許された代わりに言葉を失ってしまった、とか。
もちろん、話せないことを苦しんでいるのは知っているので、本人にそんなことは言わないけれど、もしそうだと言われたら俺は信じてしまうかもしれない。
そう思うくらいに、彼は神秘的な美しさを持っていると思う。
「おいで」
かすれ声でささやかれて、心臓が跳ねた。
そっと体を寄せると、おでこにキスされて、するりと背中をなでられたら、ピクッと肩を揺らしてしまった。
「可愛いね」
「ん、ちょっと緊張する」
「どうして?」
目を細めて、唇を奪われる。
肌のあちこちをきつく吸われて、キスマークがいっぱいついた。
「誰かに見られないかな……」
「見られちゃったらどうしようね? やだな」
そう言いながらも、目を伏せて、鎖骨の下に赤い痕を増やす。
長いまつ毛が影を落として、綺麗だ。
丁寧なキスや胸の愛撫で、体温が上がってくる感じ。
静かな部屋に、ふたりだけの吐息が聞こえて、これからどうしてもらえるのか、いやが上にも期待が頭をもたげてしまう。
彼は、優しい手つきで体じゅうをくまなく触り、ひとつひとつ感触を確かめるように、指先や唇で肌をなぞった。
「あのね、吉野くん。してみたいことがあって」
見せ物では『イメージを損なうから』という理由でさせてもらえなかったことがある。
寝転ぶ吉野くんの体をまたぎ、体を丸めて、そっと彼のものを口に含んだ。
やり方がわからないので、見よう見まねで、頭を上下してみる。
「……上手だよ。ん、もうちょっと。口をすぼめてみて。そう……上手だね」
吉野くんが甘いため息をついた。気持ちよさそう。
いつもしてくれることを思い出して、舌を動かしたり唇で甘噛みしたり。
「こっちにお尻向けてくれる?」
「え? どうするの?」
「慧はなめてて。こっち。ほぐしてあげるから」
めちゃくちゃ恥ずかしい。けど、求められることがうれしい。
くわえながらお尻を向けると、細い指が挿し込まれた。
「ぁあ……っ」
それだけで背中を弓なりに反らせてしまった。
良いところを触られて、くぐもった声を漏らす。
吉野くんのペニスに夢中でしゃぶりつくと、ますます興奮して、思わず腰をくねらせてしまった。
「ん、ん……、もう挿れてほし……んっ」
「いいよ。じゃあ、このまま乗っかってくれる?」
これも初めてのことだ。うまくできるだろうか。
彼のペニスをそっと当て、少し腰を落としてみると、重力のままにずぶずぶと沈んでいった。
「ぁああ………っ」
「すごい。根本まですっぽり。飲み込んでるね」
「ん、んぁっ、奥きもち……っ」
本能のままに腰を動かす。
「ぁ、あっん、あンッ……はぁ、」
「自分で気持ちいいところ当てて喘いでるの。エッチで可愛いよ」
「ん、はあ……っ、吉野くんは? どうしたら気持ちいい?」
「大丈夫。ちゃんと気持ちいい。もっとして?」
「ぁあッ、んぁっ、よしのくん、ぁあんっ」
下から突き上げられて、声が裏返った。
吉野くんはそのまま俺の腰を掴んで、スピードをつけて何度も何度も突き上げてくる。
「……あッ、や、んぁっ、奥きつ、ぃ、ぁあ……きもちい、あンっ」
「っ、慧……っ、好きだよ」
「はぁ、あんッぁ、よしのくん、すき、ぁあッ、ん、はあ……っすき、好き」
ごろんと転がされて、世界がひっくり返った。
口を半開きにして息を切らした吉野くんが、夢中で腰を振っている。
あまりに淫 らな光景で、のどが枯れそうなほどに喘いでしまう。
「ぁああっ、も、んぁっ、……ッ、や、イッ、んんっ」
「イキそう……っ?」
「やだ、イッちゃう、ああ、ンッ」
「いいよ。イッて」
「ん、やぁ、まだしたい、ぁあ……っ」
「いっぱいしてあげるから。ほら」
「ぁあ、むり、イッちゃう、イクッ、ぁ、あああっ……っ!ぁあああ!……ッ……!……」
胸の辺りまで、熱い液が飛び散る。
イッてる間も何度も奥を打ち付けられて、イクのが止まらない。
「はあ、……っ!や、ぁああッ……!あンッ、ぁん……ッ!」
ビクッビクッと跳ねる体を無理やり押さえつけて、吉野くんも、俺の最奥でドクドクと熱を放った。
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