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③
初めての夜。明けて。窓の外はサンサンと晴れ渡っていた。
「尻、痛い…。」
なんか違和感が拭えない。気持ち悪い…。
「おはよう。」
翔也さんは大人な余裕だ。イケメン顔で朝チュンとやらをかましてきた。因みに、俺が考える朝チュンは性行為をし目が覚めた朝方に、イケメンがおはようとベッドの中で言うことである。
見事にやりきった翔也さんは大人な男性だ。俺にはできない。ああ、なるほど。俺がモテないのは立夏だけが原因なわけではないのか。俺の心の余裕か‼︎大人の男的なあれがないからか。
「皐月君?」
「翔也さん、おはよう。起きてすぐでごめんけど、俺帰るね。学校は3限からだけど、一回家帰って、着替えたい。」
「そっか、ねぇ、恋人になる決心はついた?」
あっ、そっか。お試しの一夜だった。恋人、恋人か。気持ちよかった。だけど、恋人になるには早過ぎる?一夜過ごして恋人ってなんか、いやだ。今後もセフレ的な?
「はっ、まさかセフレとしての恋人か?」
「なんで、そう変な思考回路に行くんだろうね。そう言うところが可愛いけど。でも、うん。そうだよね。デートもなしにセックスだけして恋人は紳士としてあるまじき行為だったよ。携帯の番号教えてくれる?今度は段階を踏もう。皐月君が女の子を落とそうと奮闘したように、俺も君を落とすのに奮闘しよう。」
とんとん拍子で電話番号を交換して、会う約束を取り付けられた。そして、駅まで送ってくれた翔也さんは帰って行った。
呆然と歩いて家に帰ると、家の前にかの有名な幼馴染がいた。朝からいい感じのイケメン具合だ。
「立夏家の前で何してんの?」
「あっ、皐月‼︎昨日どこに行ってたんだよ!連絡してもでねぇし。」
「あっ、そういえば途中で携帯の電源が切れたんだった。忘れてた。早く充電しなきゃ。」
家に入ろうとしたら、再度腕を掴まれた。
「おいっ、待て待て。それで、どこに行ってたんだよ。友達の家か?」
「友達…?うーん…知り合い?」
「なんだそれ。」
友達ではない。かと言って恋人でもない。一夜の仲?流石にそれは言えないな。
「ランカさんの知り合いと一緒にいた。」
「ランカさんってお前がたまに話すBARの?」
「うん。あっ、そう言えば、俺に何か用があったの?」
「あ、いや、高校のプチ同窓会行くかなって。」
「あっ、返事昨日までだっけ。あー、どうしよう。飲みたかったなぁ。」
「そう言うと思って、一応1日待ってろって言ったぞ。」
まじか!有難い。いや、待て。絆されたらダメだ。立夏は俺の敵だった‼︎
「なんで俺はお前に睨まれてんだ。感謝を言え、感謝を〜。」
摘まれるほっぺたにいひゃいいひゃいと唸る。
くそう、おのれ立夏め。
まぁ、また好きな子取られたけど立夏自体は嫌な奴じゃないからいっか。それにもう、立夏に取られる必要のない方法も見つけたし。
「あれ、皐月。その首の赤いの何?虫刺され?」
「虫?」
なんか刺されたっけ?痒くないし…。うーん…。はっ、ま、ま、まさか!あれか?世に言うキ、キスマーク的な?
確かに昨日、翔也さんが首に顔を埋めてるときあった‼︎まさか、あれか。となると、初キスマークだ。ポッポッポと顔が赤く染まる。
「は?なんで赤くなって…。皐月?」
「お、俺、俺は大人の階段を登ったのかもしれない。」
「えっ…。」
「鏡見てくる‼︎」
ダッシュで家に入り鏡を見つめていた俺は、まさか立夏が恐ろしい形相でこちらを見つめていたなんて、想像もしていなかった。
「はっ、本当にキスマークついてる‼︎」
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