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なんでこうなったのか分からない。 ただ、俺は、イケメンの幼馴染が俺の好きな人を容易に奪い取ってしまうのが嫌で、男を好きになれば取られないのだと知ったから。 だから、この前男とセックスをした。(タチ)に恋をしたら絶対に取られないのだと学んだからだ。女の子みたいに容易に立夏に取られないだろうと思って…。 それなのに、どうしてこうなった…。 俺の上に乗る立夏は、冷たい目で俺を見下ろした。 数時間前… 俺は立夏と共にプチ同窓会に出席していた。参加人数はプチとあって10人程度。安い居酒屋で少しのどんちゃん騒ぎは許されるような雰囲気だった。 こんな雰囲気なら飲むに限る。生ビールに酎ハイ、ハイボールと飲み放題をいいことにどんどん飲み干して行く。摘みは枝豆とタコワサだ。あとは、たまに唐揚げを横に座っている立夏のお皿から拝借。 因みに立夏はさっきから女の子にキャーキャー言われてる。いつも通りだ。少しくらい唐揚げを取り上げてもバチは当たるまい。 1人でもしゃもしゃ食べて飲んでいると、高校でわりかし仲の良かった山田が絡んできた。酒とつまみを持って。 「1人で飲むなよ。さみしぃやつめ。ほいっ、これやる。」 山田が持ってるつまみはきゅうりの浅漬け。まぁ、仕方ない。かまってやるか。 「あとは肉さえあれば…。」 「へーへー、手羽先頼んでやるから。」 山田が注文したのを確認し、口を開ける。 「んで、なんだよ。」 「なんだよって相変わらずだな。お前は。久々にあった友達につめたくね。」 「俺は別に冷たくなんかないよ。」 「はいはい、構ってやらなくてごめんって。忙しかったんだよ。それで?大学では彼女できたか?」 「俺の横にいるイケメンが同じ大学だってしっての戯言か?」 「ははっ、いやでもさぁ、同じ学部じゃねぇんだろ?少しは見込みあんだろ。それに大学なんて広いんだ。イケメンだめな女の子だっているんじゃないか?」 「いたら苦労はしない。それに、昼飯は毎日一緒に食ってるし、帰りもなんだかんだ時間被ったら一緒に帰ってるし。なによりっ‼︎」 どんっと、右手に持っていたグラスをテーブルに置く。 俺が大学に入ってから恋した数は3人。 1人はブス専と呼ばれた女の子。 1人は2次元にしか興味がないと呼ばれた女の子。 最後に立夏の知らない、というか出会いようがない女子大の子。 はっ、全てかっ攫われていったさ。 「どんな女の子に恋しても、ごめんブス専なんかじゃなかったみたい。今まで見てきたイケメンなんて性格ブスばっかりだったけど立夏くんは違ったの‼︎だとか。 2次元って所詮2次元よね。3次元なんてくそしかいないと思っていたの。でも、3次元でそれも性格良しのイケメンなんてそうそういない。これは恋しないわけない‼︎だとか。 立夏くんってイケメンね。なんで紹介してくれなかったの?えっ、なんで知ってるかなんて…そんなの運命の出会いを…だとか。 なんで、なんでいつもいつも…。」 「荒れてんな。まぁ、なんだ。ご愁傷様。」 「でも、もういいんだ。」 「えっ?なんで…諦めたのか?」 「俺さ、絶対に立夏に取られないような人見つけたんだ。まだ好きか分かんないけど、なんか胸がきゅんきゅんするんだ。もしかしたらうまく行くかもしれない。」 「えっ…、まじか。そんなに自信があるってことはガチのやつか。」 「じ、実はさ、せ、セックスもしちゃったんだ。」 「まじか…。」 あり得ないようなものの目付き。酷いやつだ。まぁ、それが男で掘られたなんてことは言わないけどな。 「でも良かったな。これで負の連鎖から解き放たれるな。」 「うん。あっ、枝豆無くなった。山田。」 「お前はどこの王様だ。はいはい、頼んできてやるから待ってろって。」 ちょうど奥の方のやつが店員を呼んでおり、山田は枝豆を注文しに席を立った。俺はいつのまにか机に置かれていた手羽先を手掴みで頬張る。 「うーん。ここの手羽先、美味しいな。」 「皐月…。」 「あっ、立夏。女の子はいいのかよ。」 「俺だって普通に男友達とも話したいよ。それよか、俺の唐揚げ食ってんの知ってんだからな。皐月。」 「うげっ、バレてた。仕方ない。手羽先やるから。」 ほいっと、冗談で右手に持ってた手羽先を立夏の口元に持っていく。そしたら、がぶりと肉に食いついた。 「は?おいっ‼︎俺の手羽先‼︎」 「唐揚げよか食ってないだろ。」 「って違う‼︎冗談だぞ。」 「知ってるよ。嫌がらせだ。それより、さっき山田と何話してたんだ。」 「ううゔ…。恋人できたかできてないか。とか。」 「へぇ、それならまだ出来てないって山田に言ったのか?まぁ仕方ないよな。皐月は女見る目ないから。」 カチンときた。俺が好きになった子はみんなお前に取られたんだぞ。普通に振ってたの知ってたけど、それってさ、それって…。 酷過ぎんだろ。 「恋人は出来てねぇよ。確かに出来てないけど、この前、セックスしたし。翔也さんは背高いしイケメンだし、紳士だ‼︎俺は別に女見る目がないわけじゃない‼︎」 あっ、翔也さん女じゃなかった…。 「翔也さんって…誰だよ…男?」 「ああ、そうだ。お、俺は男見る目ならあったみたいだ‼︎男なら、翔也さんならお前を好きになる可能性ないし。翔也さんから告白もされたし…。」 なにより、キスもセックスもしたし…。 ああぁぁぁ、でも言ってしまった。 まぁ、いいか。立夏だし。人の弱み握って悪さするような奴でもないし。 「男…?セックス…?は?」

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