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⑥
朝チュンーーー
「はっ、デジャブ…?」
同じように迎えた朝。
ぬくぬくとベッドの中で惰眠を貪っていた俺が目を覚ますと、俺の髪をいじらしくも優しく触る立夏の姿があった。
「皐月、おはよう。」
「おは…よう。」
「今日バイトは?」
「休み。」
「そっか。残念だけど、俺は2時からバイトなんだ。取り敢えず、家に帰ろ。」
「うん。」
澄み渡る空。ちゅんちゅんと泣く雀。ホテルから出てから感じる朝日に正しく本当に、先日と同じ状況で笑ってしまった。
家について、立夏とは別れた。今日は大学もなくバイトもない。1日家でゆっくり過ごそうと計画を建てる。
それにあたり、必需品である携帯を充電器に繋げた。1日使った携帯はいつのまにか充電がなくなっており、起動するのに少し時間がかかる。
携帯が復活するのを待っている間にお風呂に入り、寝巻きに着替える。昼間に寝巻きで夜までベッドの中で過ごすのは至福の時。
そんな穏やかな時間を過ごしていると、ピロンと、携帯が鳴った。
『立夏君、また会いたいな。君の都合の良い日を教えてほしい。』
翔也さんからのメッセージだった。
そうだ…。翔也さんとのことも俺は考えないといけないんだった。いや、でもやっぱり立夏にとられるくらいなら…。
でも、翔也さんは絶対立夏を好きにならないって言ってたし。でも、立夏は可能性は0じゃないって…。
「ゔんんんんんん…。」
頭を掻き毟る。そもそも、恋ってなんだ。俺はどうやって恋をしていたんだっけ。
初のモテ期。どっちも男。それもどっちもセックスだけはしてしまった。気持ちは伴っていない。
顔が真っ青になる。
「はっ、なんてこった‼︎俺は淫乱か‼︎」
男2人を手駒にとる。それも2人とも最上級のイケメンときた。や、や、やばいっ!俺、世の中のお姉様方に殺されるかもしれない。
こんな、呑気に昼間からベッドにゴロゴロしていていいのか!俺よ‼︎今からでも筋トレを…。
いや、それよりも翔也さんに返事を打たないと…。
あがぁぁぁぁ‼︎どうすればいいんだよ‼︎
数分、携帯をじっと見つめた後、テーブルにあった消しゴムを掴み裏表に⚫︎✖︎をペンで描いた。
「⚫︎は翔也さんに会う、✖︎は翔也さんにはもう会わない。」
そう言って消しゴムを地面に転がした。大して周りもせず、出たのは⚫︎の方だった。
神様が仰っているなら仕方ない。予定を確認してから、翔也さんにメッセージを送り返した。
『なら来週の土曜日に会おう。デート先は考えておくよ。』
なるほど、デートか。デートか‼︎
えっ、何着て行けばいいんだ?そもそも、男と2人で手繋いでうふふあははするのか?
本日2度目、頭を抱えた。考えても仕方なし。当日の俺に任せよう。
そして、俺はもう一度寝転がってベッドの中に沈んだ。
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