9 / 10

あれから数日。 立夏か翔也さん、どちらと付き合うのか悩んでいた。贅沢な悩みだと思いながらも、悩みに悩んでいた時、ふとあることに気づいた。 そう、それはとても重要なあれ。 それに気づいたのはいつものようにカップラーメンをすすっていたときのこと。 相変わらず立夏と翔也さんとで悩んでいた俺はじゃあ2人の好きなところをあげようと考えた。 好きなところが多い方と付き合う作戦だ。 まず、立夏。立夏は顔良し頭良しセックス気持ち良しだ。最強じゃないか‼︎幼馴染だから気を使うこともないし。 じゃあ、翔也さんはというと…長く一緒にいた訳じゃないからよく分からない。分かるとしたら、外見やセックスの仕方だけだ。でも、大人な魅力は立夏よりあるし、お金持ちだし、何より人の良さは滲み出ている。たぶん、ずっといても俺は苦痛に思うことは絶対にない。 あーーー、やっぱりダメだ。どっちも俺には贅沢すぎる。 それじゃあ、嫌なところで比べればいいんじゃないか? 立夏は俺の好きな人をとるところ。でも、今回の件で解決してる。 翔也さんはまぁ、悪いところ言えるほどまだ人となりを知らない。でも、やっぱり嫌な人じゃないことは分かりきっている。 じゃあ、じゃあ、彼らに足りないところ。もしくはこうだったら良かったのにと思ったところ。 それはやっぱり男っていうのがだな…。 ん? あれ? …あれ? 俺、レンアイタイショウ→女じゃなかったっけ? ん? あれ? いつから俺、男を好きになろうなんて考えたんだっけ? 「俺、女の子と付き合いたいって思ってなかったっけ?あ、あ、あ、ぎゃぁぁぁぁあああ。」 ってな感じで俺は最低で最悪な重要かつ大問題な性別という壁に打ち当たることになってしまったのだ。 「どうしてこうなった…。」 このセリフ何度言ったことか。そして、俺よ。何故こうも大事な事を気付かなかった。 「ノンッ!」 頭を抱え、そして俺は決めた。 答えはすぐそこにあったじゃないか。 俺は2人を呼び出した。告白の返事をさせて欲しいと、そう。 恥ずかしいのと逃げ道を作るために夜中の公園での集合。公園に通りかかった人には男3人の修羅場を目撃することになるだろうが、まあそこはドンマイという事で大丈夫だろう。 硬い面持ちで現れた2人。俺は2人とは違い晴々とした気持ちだ。なぜなら、数日間悩みに悩んだ考え事があっさり解決しそうだからだ。 「皐月、答え聞かせてくれるんだろ?」 「ああ。」 「俺は皐月くんが決めた事なら従うよ。教えてくれるかな?」 「ああ。」 冷たい風が頬を撫でる。木々が揺れる音がピタリと止んだとき、俺は口を開いた。 「俺、俺さ。すっごく悩んで、2人とも俺には勿体無いくらいいい男でさ。だから、いや、だからこそ。俺は決めたんだ。俺、俺…。」

ともだちにシェアしよう!