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第1話
カーテンの隙間から溢れてきた光に目が覚める。
少なくとも自我が形成されてから今日まで、日の入りと共に寝て、日の出と共に起きるという生活を繰り返して来ているものだから、もはやこれは条件反射と呼べる技であろう。
「規則正しい生活を送っている」と言えば聞こえが良いが、日の出日の入りに左右された生活を送っているなど正直自分でもいつの時代の人間だと突っ込みたくなってしまう。
12月である現在は冬至が近いこともあり、17時には就寝し、起床は7時くらい。
つまり、1日の半分以上を寝て過ごしている。
こんな日々を送っていても日常生活に支障をきたしたことはあまりない。
いや、「あまり」というより「全く」と言っても過言ではないだろう。
---なんせ学校に通っていない上、毎日決められたやるべきこともないのだから。
それもこれも僕が代々αの家系を築いてきたこの羽柴家の中で、Ωとして生を受けてしまったために他ならない。
羽柴家は独自の研究所を所持していて、様々な薬品の研究を行っている。
大手製薬会社といくつも提携を結んでいる他、大学の研究所から指示を請われることも度々あり世間にも名の知れ渡った一族だ。
羽柴研究所は国家お抱えの研究所であるので機密理の研究も行われており、情報漏洩を防ぐため研究員は一族のみで構成されている。
そうなると必然的に研究員不足を防ぐため羽柴家に産まれたものは本家も分家も含めて皆研究者になることが求められ、現に僕が知る限りでも両親、そして祖父母が研究員として新薬の開発を行っている。
幼い頃はそんな彼らの姿をみて憧れ、自分もいつか研究者になるんだと夢みていた日々もあった。
しかし、振り返ってみるとなんて馬鹿なことを考えていたのだろうかと呆れを通り越して過去の自分に哀れみさえ感じ得る。
何故Ωの自分が彼らのような頭脳を持ち得ると思ったのだろうか、と。
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