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第6話

あれから何分経ったのだろうか。 漸く宮部の唇が離れていった時には肩で息をするぐらいには心拍数が上がっていた。 僕を開放した宮部はそんな僕にちらりと目線を寄越したが、その後は何をするでもなくベッドに腰かけたまま暫く沈黙を保っていた。 「...先程も言った通り俺はお前の番になるべくしてやってきた。いや、造られたといった方が正しいだろうか」 僕の息が整って来た頃、すっかり先程の激しさを消した宮部は唐突に語りだした。 「お前も知っていると思うが誰とでも番になれる訳ではない。しかし、番を探そうにもΩであるお前にαを合わせるのは危険を伴う」 羽柴家にΩが混じっていることを知られる危険性のことを言っているのだろうとベッドに転がったまま一先ず耳を傾ける。 「そこで羽柴家は思いついたのだろうな。お前の番を探し出せないのなら造れば良いのだ、と。そして自分たちにはその技術があると確信していたはずだ」 ああ、確かに彼らなら思いつきそうなことだと妙に納得してしまう。 「現に俺が完成したのだからそれは成功したと言えるだろう。簡単に言えば俺はお前の為に開発された、人工知能を備えたセクサロイドだ。」 彼らは薬品だけでなくアンドロイドまで造れるらしい。 初耳だ。 αとは本当に、僕には想像できないくらいの能力を備えているようだ。 次々と伝えらる情報に脳が追い付いていかない。 考えることを拒否したように、彼が話す字ずら通りに理解し、受け入れてしまう。 しかし、僕のそんな状態に構うことなく宮部は話を続ける。 「お前は身体が弱いから何度もその身体で子を成せないだろう。故に、確実にαの子が身籠れるよう特殊な人工精液も造られ、俺から輩出される仕組みになっている」 此処まで事実を淡々と述べていた宮部、いやアンドロイドは一旦言葉を区切るとじっと僕の方を見つめてきた。 「ただ1つ厄介なのは、俺の方は如何様にも弄れるがお前の感情は自由自在にならないことだ。どうやらお前がより強く番に恋慕を抱くとそれだけ身籠りやすいらしい。俺の姿形はお前の好感をより引き出しやすいよう分析されて造られたようだが...」 どうだ、とばかりに目で促してくるアンドロイドを僕もじっと見つめ返す。 ---つまり僕は宮部さんを無意識のうちに好ましく思ってしまっていたということだろうか? 働かない頭を何とか活動させその言葉の意味をちゃんと理解した瞬間に、顔に熱が昇ってくるのがわかって勢いよくアンドロイドから顔を背けた。 「その反応ならば俺の見た目は問題なさそうだな。あと俺は何をすればお前に好いて貰える?」

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