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第10話

「う...っ、はぁ...はぁ...」 ---寝苦しい。なんだか息も上がっている気がする。 夢うつつにそう思っていたが、本格的に具合が悪くなってきて目が覚める。 部屋はまだ真っ暗で、どうやら寝付いてから2、3時間しか経っていないようだった。 身体がとても熱くて喉が渇く。 しかし、とてもじゃないが自分で水を取りに行けそうにはなかった。 真夜中なので出来るだけ執事やメイドたちに頼りたくはないのだが朝まで渇きを我慢出来そうにない。 ---ヤバい、頭が朦朧としてきた。このままだとまずい。 幸いソファーの前にあるテーブルにも呼鈴があったので手を伸ばす。 ---もう少しで届きそう。 だが、呼鈴に手が触れる前に身を乗り出し過ぎたせいで身体がソファーから落ちてしまった。 「ドスン」という鈍い音が部屋に響く。 もう指先すらも動かすのが辛くて僕はその場からどうすることも出来なかった。 「おいっ、どうした!」 僕が床に倒れ伏して直ぐにそう声がした。 返事が出来ないでいるとドアが乱暴に開く音に次いで、誰かが近づいてくる足音がする。 「俺の声が聞こえるか?」 倒れていた僕を抱き起こしながら誰かが聞いてくる。 ぼやける視界で相手を確認すると見知った人物だった。 「...つが、い...さん...?」 何とかそう声に出すと相手の動きが固まった気配がしたが、それも一瞬のことで、僕の身体は持ち上げれ、そのままベッドまで運ばれたあとそっと下ろされた。 「...な、で...」 ---なんで僕が倒れたことに気が付いたんだろう? 聞きたかったが、目の前にいる相手がどんどんぼやけてくる。 なんだか意識も遠のいてきた気がする。 「...真広様っ、真広様!!」 遠くで自分の名前が呼ばれているのを聞きながら、僕はついに意識を手放したのだった。

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