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第43話
「はぁ」意識しなくとも
ため息もでるわ。
「だいたい分かったわ。」
「おう。あ、雨宮が電話して来い言いよったぞ!」
「なんで?」
「媚薬だけやと不安やからってさ!」
「…」
仁さん、、
今回は電話で諭すつもりなのか…
結局話すなら媚薬いらんかったくない?
「ちょっと待っとって。
覚えとるうちに仁さんと電話するわ。」
「おう!」
夜中だが、出るだろう。
あの人夜行性だし…
面倒事こそ早めに終わらすべき。
まあ、元を辿れば
セイが仁さんに相談したけんやけど、
その大元を辿れば俺が悪いのか…
いや、でも!
別れたいんやけんしょうがなくない!?
今更愚痴愚痴言ってもだけど…
さっさと電話をしようと
俺の携帯をセイに取って来てもらって
電話帳から仁さんを探しその名をタップした
何故セイに取ってきてもらったか
それはね、、、皆さんご察しの通り
セイの所為で動くと腰に響くからです。
自分で行こうとしたんだけど
動いた瞬間激痛だった、。
携帯取ってきてくれたセイは
「腹減ったぁ!なんか買ってくるわー」と寮にある24時間開いている売店に買い出しに向かった。
別におっても良かったのに
変な気の使い方しやがって…
…なかなか出んな。
寝よるかな?それかバタバタしているのだろう。忙しそうやし一旦切って後でかけ直そうかなぁ…ぶっちゃけ、俺は話したくない。
悩んでいると、
─『はい?なんや緋悠。』
お出になられました。
ちっ、出んで良かったのに!
"なんや"ってお前がかけて来い言うたんやろが!
とは言えず
「セイから叔父さんが電話して来い言いよったでーって事を聞いたけん電話した。」
お前とか言った日には…
考えただけでも恐ろしいので
いつもは仁さんと呼ぶところを
嫌味を込めて叔父さんと言ってやった
『くくくっ、どうした緋悠?なんかあったか?
いつもみたいに仁さんって呼ばんのな?
あ、媚薬どうやったん?』
コイツ…
なんかあった?とちゃうわ!
分かっとる癖にこうやって揶揄ってくる所が
タチが悪い。
「お、じ、さ、ん。
なんでセイにあんな物渡したんや!
えらい目におうたやん。」
現在進行形で腰が痛い。
明日と言うか今日だが、
朝から学校行ける気がしない…
『なんで?って緋悠が若に別れるとか言うからやろ!やから、
「緋悠は若からの快感に弱いのですから媚薬送るんでそれ使えば緋悠もイチコロですよ」って若と話して次の日に送ったんや。
まあ、お前は俳優とか言う仕事で届いた日おらんかったらしいけど。そんな仕事するんやたらもっと若と愛を育め。』
…なんて事を。
俳優とか言う仕事って…
仁さんは俳優の俺に興味が無い。
「はぁ。仁さんが俺の仕事に興味無い事は
知っとるけど、俺はセイと別れてもっと仕事に専念したいし女の子と付き合いたいんや!」
セイと愛を育むより
俺は女の子と愛を育みたい。
『…そんな仕事より若のが大切やろ。
女の子と付き合いたい?それは、お前が荒れとる時女に逃げたから女に負い目があるからや。』
「…」
確かにそうかもしれない。
あの時いろいろあった俺は、
セイや仁さん、皆を避け
ひたすら女の子に逃げた。
好きじゃなかったのに
俺に対して本気で好きになってくれた女の子達を利用してた。
『緋悠。前にも言ったが、
お前を幸せに出来て守ってくれるやつは
若しかおらんのや。』
そうだとしても、
俺にセイを縛ったらあかんのや。
「仁さん、俺はセイの俺じゃなあかんけど
セイは別に俺のセイじゃなくてもええんよ。」
『っ?!お前…』
お前…の続きは「ユウ!たっだいま!」と言う
夜中に出す音量じゃないセイの声で聞き取れなかった
「セイ…今何時やと思っとるんや。
おかえり。」
「おう。今?夜中の3時やな!」
まだ夜中の3時やん…
「アホ。近所迷惑になるやろ…」
「すまんすまん。
それより、雨宮との電話終わったんか?」
「あ。」
やばい忘れてたと思い携帯を見ると
通話終了の文字。
俺の指の位置的に、
セイの声にびっくりした俺が
間違えて切ってしまったみたいだ。
仁さんすまん…
「終わっとるみたいやな!ユウもなんか食う?」
俺の携帯を覗き込んだセイが聞いてくるが、
俺はお腹すいてないし腰痛いため、
「いや、寝るわー」
「おっけ。」
再びセイのベッドで眠りについた俺でした。
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